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第24回三汀賞 入選句集より その2   

選者別入選作品より抜粋

囮まで焼かれてしまひ鮎の宿 納谷一光
ざら紙の五十五銭の書を曝す 松浦希代
思い切り振ってサイダー差し出せり 林 真悠子
パチパチと音まで甘いソーダ水 杉江希未
会う度に挨拶交わし墓参り 高橋悠仁
転校生見よう見まねのぼんおどり 岩崎美怜

げんげ田やホームベースはランドセル 川前 明
三度目の引きで尻餅草むしり 小針 眞智子
待ちぼうけビルの谷間も日永かな 斉藤 菫
煮凝や体の弱き児でありき 吉田知子
七夕や妻の襟足母に似て 原田伸介
無限なる銀河にひとつ我が命 内海将行

父だけが知らぬ告知や昼寝覚 有我 シゲ子
さよならは桜の下に埋めたんだ 赤司 さくら
病室で遠く感じる雲の峰 岡部 陽茉梨
すいえいのつづきをしてるゆめのなか 安田悠良
村芝居修羅場へ走り込む擬音 久保田 直
夏休み目がけて走る廊下かな 久能彩香

春天に似た生地探す手芸店 佐東由唯
消しゴムの白紙に戻す秋の空 小塙優菜
川の字のついてははなれる夏の夜 五十嵐 璃々亜
一人だけ盆踊りするおじいちゃん 原 宗平
いぬふぐりわたしのくつも地球色 久能和佳
手の平に蝉の鼓動を包みたり あべ 和かこ

若き日の歩幅にいどむ夏姿 宗 雅子
父祖からの棚田小昼の朴葉飯 加藤隆二
まあ上がれ座布団しいて今年米 原田尚知
帆船ゆく群青の布裁つごとく 小田 乃理子
大旱確かに流る疎水かな 山田 しげ子
マスク無し鼻へ伸ばす手癖とれず 大関 日華里
天に向け人差し指にオニヤンマ 渡邉咲希







# by kanitachibana | 2024-02-18 17:22 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

第24回三汀賞 入選句集より その1   

<一般の部>

三汀賞
 安積野の大樹の上を夏燕 吉田次雄

優秀賞
 水澄むや市に水産課鯉係 三上昭俊

佳作
 麒麟舎の空っぽのまま秋闌ける 穂苅真泉
 雪掻をしてから行くと言ふ電話 伊藤 真知子


<高校生の部>

三汀賞
 弟と花火をするのもあとわずか 菅野真菜

優秀賞
 夕焼けを教室で見る引退後 西牧咲耶

佳作
 糸変えて春色となりワンピース 高橋 蒼
 五校時目暑いし眠いし数Ⅱだし 小山幹太


<中学生の部>

三汀賞
 息白しいつもとちがう月曜日 桜井 はるな

優秀賞
 夕立が大地を削りまだ進む 五十嵐 康

佳作
 薄氷のはる水中に泳ぐ雲 當間陽夏
 帰り道祖母の手を引く夏の夜 田中勇帆


<小学生の部>

三汀賞
 土用なみ岩をザブンと食べに来る 川島創太

優秀賞
 かぶと虫脱走計画夜の会議 鈴木 翼

佳作
 なつまつりわらじがのぼるしのぶやま 秋元紗和
 カッコウが自分の名前よんでいる 井尻明咲




はなかつみ賞

<一般の部>

 ほどほどに気ままな暮らし冷奴 続橋 清


<高校生の部>

 泣き虫はきのうの私月鈴子 神野亜美

<中学生の部>

 浴衣着た狭い歩幅で下駄の音 佐藤 花悧奈

<小学生の部>

 合唱部男子は二人夏の空 佐久間 紅明






# by kanitachibana | 2024-02-18 15:40 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

11月18日 讀賣新聞 よみうり文芸   


露草のそそとしぼめり昼の鐘
     二宮町 原 新平
 この慎ましさが良い。「そそ(楚々)」がまた、露草の清らかさ美しさを上手に引き出している。


# by kanitachibana | 2023-11-19 18:36 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

香露滴瀝   

香露滴瀝_f0223347_21473680.jpg
居酒屋さんの店内に掛けてあったものだ。ほろ酔いでもあり、「何て読むの?」と若い店員さんに聞くも、
「さあ、、、」とつれない返事。二番目の「露」だけは確かなようだが、、、。
いい宿題を貰ったと思い、すかさずカシャリ。
帰って字典で調べてみると、ほどなく判明。『香露滴瀝』(こうろてきれき)と読むらしい。花から芳しい香りのする露が滴っている様子を語っているらしく、書道や篆刻の分野では比較的馴染みがあるようである。
美しい言葉であり字体でもある。いいお土産であった。


# by kanitachibana | 2023-11-18 22:20 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

8月7日 讀賣新聞   

<読売歌壇>
火葬場の煙突くぐり父は逝く「おもしろかった」と手を振りながら
                     長野市 遠藤ゆりこ

教科書に腕立て伏せをさせながら詩の風にきみは眠りつづける
                   川崎市 からすまぁ

彼の吹くトランペットの上達は公園にいるみんなの願い
                東京都 富見井髙志

水道の蛇口の奥のその先の琵琶湖の魚はお元気ですか
              守口市 小杉なんぎん

放課後とう時間まぶしく傘ささぬひとりふたりが駆けてゆきたり
                  大和郡山市 大津 穂波

まな板の上でオクラを転がして夏の産毛を取り払ひたり
                千葉市 小金森まき

駅前の路上ライブに足を止め友の葬儀にわざと遅れる
                宇治市 浜岡 学


<枝折>
女の子のような気がする 遠いむかし豆を剝きつつ母は言いたり
                         永田 紅






# by kanitachibana | 2023-08-16 21:27 | 俳句 | Trackback | Comments(0)