短歌人7月号 会員2
2011年 07月 17日
大地震(なゐ)の激しきさなか窓越しの安達太良山に救ひ乞ひたり
この髪についていゐべき放射線を流さむやかんのわづかな水が
黒河内美知子
断水となりて夜中に庭に出て小便をする夜空見上げて
さつき明紫
雪山をかけめぐりたる夢みしか岩手生まれの愛犬死せり
沖本展明
避難所の体育館は肌寒き季節のままに時を消したり
照井夕佳詩
三歳の指につきたる葱の香を洗い流して息子に戻す
後藤祐子
この頃は少し視力も衰えてちょうどよろしくあなたも見えます
先ほどより義母の話は耳を抜け激しき雨をただ見つめおり
高橋れい子
また地震速報流れ散ってゆく深夜に咲ける電気の花が
伊藤壽子
亡くなりし伯父に代はりて筍を今年もくれし伯父の愛人
來宮有人
ひさびさに息子に電話かけたれば受話器のむかうに子の家庭あり
田端洋子
by kanitachibana | 2011-07-17 19:33 | 短歌 | Trackback(29) | Comments(0)