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11月22日讀賣新聞   


<読売俳壇>
君は無事か白馬神城地震に凍つ
         熊谷市 広田豊作
  遠い地の人への安否を思う緊張感が伝わってくる。

冬茜おはやう・おやすみいふ人欲し
         さいたま市 藤井 恵
  気が付くともう何日も人と言葉を交わしていない、、、そんな話も聞くようになってきた。楽しみは自分で見受けなくてはと言われるが、そういう状況になってからではなかなか難しい。早いうちから楽しみの種を拾い集めておきたい。

大枯野より戻りたる書斎なり
      大和市 杉浦正章
  戻る場所があってこその大枯野である。きっと沢山の本に囲まれた自分の居場所であろう。

大菊のおつむてんてんあたたかし
        筑西市 野尻佐知子 

横歩きして懸大根の中通る
  神奈川県 石原美枝子
  あえてそういう中を歩く人は少ないであろうから、きっとご自分で懸けた大根であろう。寒い中お疲れさまです。またその数の多さも想像されるところです。

  
冬至の日武州御岳に入りにけり
        上尾市 山田正雄
  「けり」に凛とした潔さを感じられます。

茅葺の軒をあまさず懸大根
      坂戸市 沼井 清

鳥海山(ちょうかい)のこちら正面冬鷗
             秋田市 中村栄一

極月の畳屋肘に物言はす
   四街道市 須崎輝男

日記買ふだけの銀座でありにけり
        栃木県 あらゐひとし
  さらっと風のように言ってしまう句もまたいいものである。

帰り花遅れ取りたるには非ず
       秋田市 中村 耕


<読売歌壇>
晩秋の夕日は深くさし入りてただ静かなり母の亡き家
                      匝瑳市 椎名昭雄
  家に入り込む夕日を遮るものはなく、その夕日は家を突き抜けて行ってしまいそうである。

中天を仰げばぐらりと傾きぬ踏みこたへて立つ八十二の冬
                         奥州市 白石忠平
  時折「地震かな?」と思う時がある。だが垂れ下がる電燈の紐も揺れていない。生きることは踏ん張ることか。

夜祭りも終りて卒寿の春をまつ秩父の里はしづかなりけり
                        秩父市 内田定男
  賑わいの後の静寂。里の冬はじっと待つしかないのでしょうか。春はより愛しいものと感じられることでしょう。

年老いて小さくなりしわが妻をしばしわが子と思ふことあり
                         君津市 染谷 昇
  こういう心境もあるのだろうか。ずっと一緒にいたからこそ見えてくるものもあるんだろう。

フラダンス笑って踊れとうながされ老い人たちの金歯が光る
                          東京都 河村睦子

酔って出た電話のメモにすすきの字鈴木をこんな寂しくさせた
                           青梅市 諸井末男
  電話しながら何気なく書いた文字(記号、絵)は、自分でもわからないものがよくある。思考と手は全く別の生き物になっている。深い意味は全くない(と思いたい)。  ウイットに富んだ楽しい歌である。

by kanitachibana | 2014-12-23 13:34 | 俳句 | Trackback(1) | Comments(0)

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