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3月14日 讀賣新聞 よみうり文芸   

<短歌>
文明は遠き故郷を近づけしがあの郷愁を薄れさせけり
                     横須賀市 竹山繁治

 新幹線、携帯電話、インターネット、、、 確かに時間的には距離を感じさせなくなってきている。でも過ぎゆく時間だけは誰も止めることができない。故郷は遠きにありて思うもの、であろうか。

校庭の隅にふつくら土まんぢゅう子らいつくしみうさぎが眠る
                          瀬谷区 古山智子
 「埋めてあげる」という考えはそのうち消えてしまうのであろうか。人間の世界でも稀な儀式になってきている。ただ、かつて生あったものが、今そこに居る、そこにある、という実感を強くさせてくれる。

裏山の雑木にさわぐ風の音(ね)に陸奥(みちのく)の冬思いいでたり
                              海老名市 長田英子
 何気なく聞く音や匂いが、一瞬にして記憶を呼び起こすことがある。うつらうつらしている時に聞く風の音、葉擦れの音などはその典型である。北国の冬はとにかく寒い。昔ながらの作りであれば、風なども自由に行き来していたのではないだろうか。


<俳句>
飴(あめ)切りの音参道に初大師
        茅ヶ崎市 合田啓三

 寒い季節であるので、飴を切る音もよく響くことでしょう。うきうきとしてきます。

寒鴉兎(うさぎ)飛びして日暮れの田
           大井町 中村昌男
 鳩などは身体を左右に振ってよちよちと歩いているのですが、なぜか鴉は歩いているのか飛んでいるのか微妙なところがあります。警戒心のためかとも思えば、意外と大胆でもあり、威嚇してきたりもします。食って生きんがためのピョンピョンなんでしょうね。

穭田(ひつじだ)の続く彼方や凧(たこ)浮かぶ
                 秦野市 細谷幸子

 収穫も終わり、田で遊ぶことを許された子どもらが凧あげに興じているんであろう。豊作であらんことを。

駄菓子屋の早め店閉ぢ夕時雨
        高津区 佐藤笙月

 この気ままさが駄菓子屋さんの魅力でもあるだろうか。

誘はれて探梅行や風の道
   宮前区 長谷わかな
 風に誘われ梅を見に行ったのでしょうね。道案内は風でしょう。


<川柳>
楢山へこの身を抱いたおぶい紐
     海老名市 やまぐち珠美

 巧みに主語が入れ替わっているのでしょうか。背負って行ったつもりでも、実際は背中の母に抱かれていたんでしょう。沁みてきます。

定年の庭は三坪を畠(はたけ)にし
        港北区 山本喜太郎

 土いじりはとにかくいいらしいです。何よりも裏切らない。応えてくれる。庭の土は、また畠として新たに生まれ変わっていくことでしょう。

by kanitachibana | 2015-03-14 18:26 | 俳句 | Trackback(48) | Comments(0)

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