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6月20日讀賣新聞 よみうり文芸   

<短歌>
職退く後久々乗りたる相鉄線車輪の軋(きし)み消えて居(お)りたり
                            伊勢原市 黄金井春男

 時間帯によって電車の光景は全く違ってくる。朝の通勤時は混んで、電車も悲鳴をあげている。ただただ移動の手段とすれば見るものもない。自由の身となった今は心なしか、差し込む光さえ穏やかである。

初孫を沐浴(もくよく)させるわが腕に昔の力残りてゐたり
                          旭区 松井暁子
 不安げに抱いてはみたが、体があの時の感触を蘇えらせてくれる。ああ、こうやって時代は繰り返していくんだな。 

電話口の訃報の知らせ聞きづらくくぐもる声に相槌(あいづち)をうつ
                               秦野市 小室恵子
 言葉は聞き取りづらくとも、痛々しい空気は十分に伝わってくる。ただただ頷き気持ちを受け止める。


<俳句>
きのふよりけふ雲白し夏はじめ
        金沢区 小林千秋
 空の青さがことさらに雲の白さを際立たせてくれる。そう感じた時から夏が始まるのだろう。

たかんなの今日は背丈を越えにけり
          南足柄氏 海野 優

 雨後の筍とはよく言ったもので、実に成長が速い。子の成長と一緒である。

<川柳>
キラークイーン指鉄砲を月に置く
     海老名市 やまぐち珠美

 魔性の女とでも言うのでしょうか。月夜に狙われでもしたら逃げ場はないでしょうね。

掛け違う釦(ぼたん)そのまま共白髪
            二宮町 原 新平

 もう今さら、、、と受け入れるか。いや、このままじゃ納得できないと思うか。なんやかんやで、一緒にいたからこそ見えてくる何かもあるんだろう。良し悪しは別として。

つれづれを緑で癒す草むしり
  横須賀市 竹ノ内倉次郎
 むしってもむしっても草は生えてくる。本当に追いかけっこである。いっそコンクリートにしてしまおうか。除草剤で根こそぎ絶やしてしまおうか。 手でむしるほどの草の土地はまた、自分の居場所にもなってくれる。



 

by kanitachibana | 2015-06-20 16:13 | 俳句 | Trackback(210) | Comments(0)

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