6月28日 神奈川新聞
2015年 07月 01日
ひらがなに書けば七文字のみなりき囲炉裏に習い学校に入る
横須賀 杉田禮子
ノートも鉛筆もたやすく買えない頃は、囲炉裏や火鉢の灰に字を書いてもらい覚えたものである。書くにも消すにも手間が要らず、何よりもお金がかからない。七文字は自分の名前であろうか、それとも「いろはにほへと」であろうか。今となっては、教えてくれた「人」が恋しいことであろう。
死に支度せねばと思ふ吾ながら春さり来れば花の種蒔く
港南区 本多豊明
蒔かねば咲かないということを作者は十分わかっている。蒔いてどうするんだと思いつつ、あの花の美しさを知っているからまた蒔いてしまう。人も草も花も全部自然の一部であり、たえず生死を繰り返しながら繋がっている生命なのだ。
by kanitachibana | 2015-07-01 21:21 | 短歌 | Trackback(4) | Comments(0)