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尾崎左永子歌集「薔薇断章」   

 11月22日付神奈川新聞「かながわの歌壇時評」において、中川佐和子氏が歌集を紹介している。
 尾崎左永子歌集「薔薇断章」である。夫と一人娘を病で亡くし、ひとりとなった尾崎の歌ということだ。

 そのどれもが心を打つものなので、中川氏が抄出した歌をそのまま書いてみたい。


梨花白き夕闇のなか少しづつ失ひし時の量を悲しむ

八重咲きの白き木槿の花閉ぢてひそかに蔵(しま)ふわが心の喪(も)

娘(こ)の最期と知れどすべもなき病棟に人とは畢竟(ひっきょう)ただ禱るのみ

お前はもう充分堪へた吾娘(あこ)の死を褒めつつその髪撫でゐたりけり


逆光の街歩みをり抱へ来しなべての憂ひ照らさるるまで

夜おそく帰りし父にもらひたる遠き記憶のマロン・グラッセ

青葉濃き鎌倉山のほととぎす人想ふこころ剪(き)るごとく啼く


あるときは夢に来て咲け薔薇いくつこの世に咲かぬつぼみの未生

by kanitachibana | 2015-11-29 16:55 | 短歌 | Trackback(3574) | Comments(0)

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