第50回子規顕彰全国俳句大会 その1
2016年 01月 11日
父と子の校歌の山河風光る
松山市 関谷葉子
これはきっと小学校だろう。
最近は子どもの数の減少により、どこに行っても統廃合の話を聞く。親が通った学校に子が通う。なんとも感慨深いものである。ひょっとしたら親の落書きに気付くかもしれない。
疲れ鵜のなほ潜らむとしたりけり
大阪府 青木朋子
飼われて生きるもののかなしさが伝わってくる。
花守の息ぬく雨となりにけり
今治市 中尾久美子
あいにくの雨、、、とかよく聞くが、雨降って安らぐ人もいるものなのだ。
半分は風を来てゐる更衣
熊本県 渡邊佳代子
喪籠りのそのまま梅雨に入りにけり
松山市 新山美末
これもまた詩情がある。人の感情に、きっちりと線を引くことなどできない。気が付けばもう梅雨の季節である。
日に翳に雨に紫陽花物語
岡山県 岩崎正子
リズムの良さが心地よい。何かのキャッチコピーにしたいくらいだ。
樏を預けて森の美術館
北海道 長尾岬月
雪国ならではの句である。樏(かんじき)という日常を離れ、しばしの心の休息である。
決めてゐてまだ迷ひをり花衣
西条市 横山容子
お花見にもいろいろな楽しみ方がある。女性であればこその楽しい迷いだ。
鳥雲に丸き地球のどこも涯
東温市 上岡紀子
箱庭に故山の石を並べ置く
東京都 佐藤孝志
私も庭に故郷の石を置いている。この気持ちがよくわかる。
山小屋を檻となしたる軒氷柱
兵庫県 杉岡壱風
山小屋にはきっと雨樋がないのだろう。屋根からの雨雪がまっすぐに氷柱となっていく。
by kanitachibana | 2016-01-11 14:13 | 俳句 | Trackback(4069) | Comments(0)