明治の末頃かと思われる古い手紙に、どうしても読めない漢字があった。(右写真の矢印の漢字)
金銭の授受の件だったので、「金三十二えん」かな?と推測したが、手元のどの辞書にも載ってない。画数で調べても出てこない。電子辞書の手書きで調べても該当なし。
もちろん手書き文字であったため、「赤」に似たこの字は、誤記かもしれないとさえ疑っていた次第である。
ところが、先日読んだ「漢字は日本語である」という本にこの文字が紹介されていた。やはり「円」と同じ意味で、実際よく使われていたらしい。
これは考えようによっては、はなはだ怖い事である。たかだか百年くらい前の、祖父曽祖父の時代の文字が辞書からも抹消されてしまうのである。もちろん略字とかで、公式には認められてないという意味もあるかもしれないが。
それでも「こんな字は無い!」と言われてしまえば、辞書でも見せない限り反論の余地は全くなくなってしまう。
漢字は中国生まれだが、日本で育ち改良され独自のものとなったらしい。そのプロセスを辿ってみるのも興味深いし、また大切ではないかとかと思う。
私は知らなかったが、日本育ちの漢字を網羅した分厚い漢字辞典も発売されていると聞く。ちょっと高いが。