黄鐘穀旦

　先日立ち寄った神社に、何やら興味を惹かれる石碑があった。

　正面の文字は全く判読できないのだが、横に刻まれている文字ははっきりと読み取ることが出来る。

　「黄鐘穀旦」とある。さてさて、黄色い鐘とは面白い。どなたかが何かを祈願して、黄色い鐘を神社に寄進したのだろうか？などと想像を膨らませてしまった次第である。また「穀」の字も見えるため、きっと豊作を願ったのであろうか。などと、、、。

　でも調べてみたら「黄鐘」は、陰暦１１月の異称であるらしいことがわかった。また「穀旦」は吉日のことらしい。すなわち「黄鐘穀旦」は１１月吉日という事なのである。

　なるほどこれならば合点が行く。碑の側面であるからして、単なる日付が入っているのももっともだ。

　この月の呼称も、実にたくさんあることがわかった。例えば１月にしても、正月・睦月・孟春等々。その他聞いたことのない呼び名が数えきれないほどある。

　ちなみに「鐘」のつく月は、「黄鐘」のほかにもう一つだけあった。陰暦６月を表す「林鐘」だ。

　本来はそれぞれの月の名に「鐘」がついていたのかもしれないが、調べて分かったのはこの二つだけである。