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3月20日讀賣新聞 よみうり文芸   

<短歌>
隊を組む十機のヘリに冬川の群れ鴨(かも)は乱れ葭(よし)は騒(ざわ)つく
                           中央区 落合 征夫
 対句の表現が破調の効果もあり、時ならぬヘリの編隊におどろく鴨の様子がよく出ている。

<俳句>
まぶしかる空となりぬや木の根明き
        二宮町 原 新平
 直接の色彩表現を使わずとも、空の色、雪の白さ、土の黒さがはっきりと見えてくるようである。

若冲の叫びが耳に初鴉(はつがらす)
        厚木市 石川 弘道
 取り合わせが新鮮である。インパクトも強く余韻も残る。

小流れに沿うて歩きぬ寒の明け
      宮前区 西 順子
 日常の暮らしをさりげなく淡々と詠んでいるが、いかにも心地よい。手練れの業であろう。

<川柳>
清濁を併せて呑(の)まず無位無冠
        二宮町 原 新平
 無位無とばかり思っていたが、無という表記もあることに初めて気付いた。
 良くも悪くも全部呑みこむのが度量の広さ、と嘯く輩もいるが、許せないものは許せない。ならぬことはならぬのである。ただ、得てしてそんな御仁は組織には冷遇されがちである。それを承知の無位無冠は男の美学だ。

ふすま絵の美女と眠って老い枕
      戸塚区 柴山 洋

妻の背を遠くで見れば観世音
    都筑区 髙橋 幸治
 そう、「遠くで見れば」が効いている。

豪快な字を書く割に華奢(きゃしゃ)な腕
          藤沢市 妹尾 安子
 思わず声を出して笑ってしまいました。理屈抜きの面白さも川柳の魅力なのでしょうね。




by kanitachibana | 2021-03-21 11:10 | 俳句 | Trackback(80) | Comments(0)

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