「四季の心を選ぶ」水沼三郎 (下野新聞社)より抜選 その2
2022年 08月 20日
在天の父の離さぬ凧(いかのぼり)
助手席に乗り猟犬の貌となる
佐藤 利夫(烏山)
風一と日梅にはじまる花行脚
初鴨の翼昂ぶる隠れ沼
星野 栄子(宇都宮)
風に咲く白梅まぎれなき五弁
裸婦像のししむら厚し通郭公
中村 草介(茂木)
針に通す糸の先割れ多喜二の忌
手に移る重き一期や牡丹剪る
羅やこの甲冑の裔(すえ)にして
斎藤由美子(宇都宮)
味噌を擂る手元ゆるめし初音かな
鈴木 幸子(宇都宮)
下野の野を存分に春田打
水楢のひかり抜け出る夏の蝶
魚の目に深き海ある晩夏かな
神留守のバスの席より日がころげ
野中 千秋(高根沢)
樟脳の切れた膨らみ青嵐
大栗たか子(日光)
さんさんと一太刀の渓(たに)青嵐
沼尾 重徳(塩谷)
牛洗う次の出番の牛が啼く
鈴木千夜女(黒羽)
流鏑馬や一直線に秋の風
星野えり子(今市)
ゆきあひの空に水の香芙蓉咲く
森戸 光子(宇都宮)
子を叱る役の遠のき十三夜
長谷川理雅(西那須野)
仏飯(ぶっぱん)に零余子が入る日曜日
石島 佳子(鹿沼)
by kanitachibana
| 2022-08-20 16:12
| 俳句
|
Trackback(12003)
|
Comments(0)