<読売俳壇>
囀りや北の大地に画架を立て
千歳市 鶴谷 雪子
はるかなる戦後生ききて蓬摘む
八王子市 斎賀 勇
野遊びの心地青畝の生家訪ふ
宝塚市 広田 祝世
著莪の花終りやすくてもう見れず
和歌山県 助野貴美子
葉桜や子等に友達出来る頃
松戸市 和田 薫光
花万朶空のうす色引きよせる
高槻市 泉 幸代
腕ふればついてくる脚春の雲
神戸市 吉野 勝子
<読売歌壇>
いつしかに友のメールは途絶えたり逢えぬ三年の春も暮れゆく
宇治市 長谷川昭子
さざなみのやうにめくればこの本のわれはただひとりの航海者
千葉市 小金森まき
手のひらにクリーム広げゆくように会いたさをゆっくりと馴染ます
大和郡山市 大津 穂波
古着屋で買ったアロハに付いてきた漁師に鯨の話を聞いてる
ふじみ野市 雨雨雨汰
<枝折>
ノートルダム再建の木木のいつぽんとなるべきわれか夢に切られて
水原紫苑歌集「快楽」 代10歌集