人気ブログランキング |

<   2016年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧   

7月16日讀賣新聞 よみうり文芸   

<短歌>
曖昧となりし記憶を否定さる娘もやがて知るその哀(かな)しみを
                           鶴見区 金谷恵美子
 えてして記憶とはそんなものだ。心に残った一瞬を主観的にデフォルメしてしまう。結果、同じ事象でも、人により全く異なったものとなってしまうことがある。
 自分の記憶を否定されることは確かに哀しいが、自分自身を否定されたわけではない。娘も知るだろうその哀しみを、願わくば味わってほしくないというのが作者の本意であろう。

<俳句>
農に老い菜種を干しぬ納屋の軒
        港北区 青木 文雀

竹林を透かして紫雲英田の明かし
         藤沢市 青木 敏行
 竹林を防風林と考えれば、おそらくは作者は北の方を見ているのであろう。お日様を背にして見る風景はきれいなものである。順光なだけに光もあざやかである。

<川柳>
優しさを他人(ひと)に求める老い始め
           藤沢市 阿部 紀代
 なかなか味わい深いものである。期待があれば失望も生まれる。それも承知の老い始めか。

by kanitachibana | 2016-07-17 17:44 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

7月9日讀賣新聞 よみうり文芸   

<短歌>
医師の言ふ胃ろうの話たまさかに目覚めし母は駄目と目配す
                           二宮町 原 新平
 子としてつらい決断である。病む者にも尊厳はある。そしてまた子とすれば、いつまでも母の子のままでありたい。

日に数度鉋(かんな)や鑿(のみ)を研ぎ直し家を建てたる時代過ぎしか
                               鎌倉市 長谷川州寛

「今売ると買った時より高いのよ」友は引っ越す夏が来る前
                           旭区 滝 妙子
 言葉通り捉えるといたってドライな感じだが、別れのさびしさをそんな言葉で表したのかもしれない。

風まひる風のゆるゆる流れゆき六十過ぎて誇るものなし
                      金沢区 後藤 恵一
 されど作者は知っているのだろう。しあわせは自分の中にあるものだと言う事を。

<俳句>
夕立の初めの粒を掌(てのひら)に
         大井町 新井たか志
 こういったうるおいのある日々を送りたいものである。

衣更して富士山のそゝり立つ
       葉山町 関本 巴

三彩の角大皿や柏餅(かしわもち)
  相模原市中央区 三十尾維大

エンジンの音に麦刈る独りかな
       金沢区 広瀬 恒三
 エンジンを止めた時の静寂が、また独りを感じさせてくれる。

鄙(ひな)の子や蛍袋を友として
         山北町 武 昭好
 平易な言葉が心に沁みこんでくる。

<川柳>
後ろ髪机拭かせて定年日
    瀬谷区 秋道 博一
 作者は、机を拭いてくれている女性の後ろに居るのだろう。「拭かせて」に感謝の気持ちが表れている。





by kanitachibana | 2016-07-16 18:27 | 俳句 | Trackback | Comments(0)