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8月22日 讀賣新聞    

<読売俳壇>
また醒めて枕をかへす熱帯夜
    大津市 松下 芳子
 寝苦しい暑い夜を「枕をかへす」が的確に表現している。平易な言葉で読む者を頷かせ、作者の実力を存分に感じさせてくれる。

<読売歌壇>
巡りゆく季節を均しく愛でるごと折り目なき電子版の歳時記
                  東京都 富見井高志
 歳時記に限らず電子辞書は大変便利なものである。嵩張らないし、見づらい文字も拡大してくれる。何よりも、分からないと思ったことを後回しにせず、その場で解決してくれる。携帯性もあいまって、これは電子版の大きな魅力である。
 さて掲歌であるが、電子版の歳時記をさらっと、至って無機質なものとして表現している。だが作者は知っているのだ。紙であれ電子版であれ、それは単なるツールであることを。詩歌に表されるものは作者そのものであるから、その助けとして用いるツールは便利であることに越したことがない。 作者は「電子版」の愛好者であろう。「均しく」という言葉に目がやさしい。

<枝折>
留守電にもう母おらず夜々を離岸の舟に灯ともすわれは
                     久山倫代








# by kanitachibana | 2022-08-22 22:04 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

「四季の心を選ぶ」水沼三郎 (下野新聞社)より抜選 その2   

在天の父の離さぬ凧(いかのぼり)
助手席に乗り猟犬の貌となる
      佐藤 利夫(烏山)

風一と日梅にはじまる花行脚
初鴨の翼昂ぶる隠れ沼
   星野 栄子(宇都宮)

風に咲く白梅まぎれなき五弁
裸婦像のししむら厚し通郭公
    中村 草介(茂木)

針に通す糸の先割れ多喜二の忌
手に移る重き一期や牡丹剪る
羅やこの甲冑の裔(すえ)にして
     斎藤由美子(宇都宮)

味噌を擂る手元ゆるめし初音かな
     鈴木 幸子(宇都宮)

下野の野を存分に春田打
水楢のひかり抜け出る夏の蝶
魚の目に深き海ある晩夏かな
神留守のバスの席より日がころげ
     野中 千秋(高根沢)

樟脳の切れた膨らみ青嵐
  大栗たか子(日光)

さんさんと一太刀の渓(たに)青嵐
       沼尾 重徳(塩谷)

牛洗う次の出番の牛が啼く
   鈴木千夜女(黒羽)

流鏑馬や一直線に秋の風
  星野えり子(今市)

ゆきあひの空に水の香芙蓉咲く
    森戸 光子(宇都宮)

子を叱る役の遠のき十三夜
 長谷川理雅(西那須野)

仏飯(ぶっぱん)に零余子が入る日曜日
         石島 佳子(鹿沼)















# by kanitachibana | 2022-08-20 16:12 | 俳句 | Trackback(12003) | Comments(0)

四季の心を選ぶ    

「四季の心を選ぶ」水沼三郎 (下野新聞社)より抜選

春雪を見るだけ拭う厨窓
花火師の土に打ち振る浄め塩
    江田 政志(佐野)

売られゆく牛の瞳(め)にある松飾り
牛うりし帽を目深に畦を焼く
       鈴木 幸子(宇都宮)
 
雪山の雪に開けり登山地図
大茅の輪髄まで濡れて滴れる
   五十嵐藤重(宇都宮)

雛の笑みたゆたひもなく流れゆく
     森 きぬ女(宇都宮)

きらきらと母を奪ひて二月ゆく
山繭の穴が天向く復活祭
    斎藤由美子(宇都宮)

一族の墓の前なる大植田
 𠮷澤 道也(宇都宮)

鮎の瀬の昏々と水厚くなる
一睡を誰も咎めず秋出水
出口から人形の菊抱かれ入る
   岡本 勇(西那須野)

言ひ足りぬこと秋天に書いて置く
    長谷川理雅(西那須野)

大綱で牛引き上げる秋出水
吉良殿の菊の衣に霧を吹く
   佐藤 利夫(烏山)

気配りのゆき過ぎてをり朝の薔薇
蛇の眼に深き青あり午後三時
林檎もて朝の光を廻しつつ
     野中 千秋(高根沢)

木喰(もくじき)なら仏とせんか根榾(ねほだ)掘る
               石島 朝治(鹿沼)

夫の旅地図にて追ひぬいわし雲
     渡辺登美子(矢板)

芋をむく小指の役目一葉忌
  渡辺志げ子(宇都宮)

出稼ぎを戻り神楽の姫となる
    橋本 村童(馬頭)

夏蝶の火の彩(いろ)と薪能
   星野 栄子(宇都宮)

夏帯の銀河のごとく解かれあり
     高橋 節子(芳賀)

暑気中り志功天女の臍深し
   伊沢 克明(壬生)
  
水見舞はがきの耳の濡れて着く
     彦坂 寿子(矢板)










      

# by kanitachibana | 2022-08-17 14:52 | 俳句 | Trackback(1) | Comments(0)

6月27日 讀賣新聞    

<読売俳壇>
手も触れぬ不意の別れや薪能
    東京都 川上 福美

母たづね往きも帰りも麦の秋
  近江八幡市 塚本 尚子

夏服の女は胸を突き上げる
   北見市 藤沢 直美

竹落葉五百羅漢より掻き出せり
   さいたま市 薄井 逸走

両腕を胸に歩荷の寡黙なる
  国分寺市 野々村澄夫

下闇へ入りて光の粒払ふ
  稲城市 日原 正彦

蛇衣(きぬ)を脱ぐや鱗を逆立てて
       佐野市 髙橋すみ子


<読売歌壇>
髪洗い冷茶一杯飲んでから短歌の清書始める五月
             町田市 城所レイ子









# by kanitachibana | 2022-07-13 21:18 | 俳句 | Trackback | Comments(0)

7月9日 讀賣新聞 よみうり文芸   

<俳句>
茅葺(かやぶき)を尾の撫(な)づるかな鯉幟(こいのぼり)
                 茅ヶ崎市 加藤 西葱

千年を生きし貌(かお)してひきがへる
         港南区 竹村 清繁

背の子に手を引く子にも春の虹
    横須賀市 式部 洋子

午後の日や風をいとはぬ紋白蝶
   横浜市緑区 井上 誠一

陽光を四方へはじくや花水木
     二宮町 原 新

總持寺の大梵鐘や薄暑呼ぶ
   鶴見区 徳元てつお


<川柳>
懐かしい七人なのか外の敵
  横須賀市 高田 幸男







# by kanitachibana | 2022-07-10 16:56 | 俳句 | Trackback(4) | Comments(0)